第24回 「おかえり~」のばねに感謝
みなさん、こんにちは。
年末から、鳥取や島根、それに北陸、東北、北海道まで大雪の日が続きました。 鳥取や島根では、お正月で帰省した人が電車の中で2日間も過ごしたとか・・。
地元の人たちは大雪のため、買い物に出かけることができず、電気も供給されず、本当に不便なお正月を過ごしたようです。 子供や孫が帰ってくるのを楽しみにして、お節料理も準備して、「おかえり~」と笑顔で迎えたかったでしょうね。
ばねにも「おかえり~」と感謝したいですね。・・・と言いますか、ばねはあまりにも身近に存在するので、ついつい感謝の念を失ってしまいます。
いいですか・・・・、筆記具(万年筆など)のクリップ、ボールペンなどのノック部分、バインダー、洗濯バサミ、リモコンのボタン、爪切り、キーボード、いろんな電気製品(その他機械など)のいろんなボタン、小学校の時の家庭科で使ったU字のハサミ(和バサミ)。
もしリモコンのボタンやキーボードの文字ボタンを押して、「これが戻ってこなかったら」と想像すると、いや~本当に困ってしまいますよね。「不便」なんて生易しいものではありませんよ。仕事になりません!
だから、いろんなボタンを押して「おかえり~」って感謝しないとね。いちいち大変だけど(笑)。
昔は、山の中で狩りをする際に、木々を無理矢理(むりやり)地面へ向かって弓のように湾曲させて、獲物を捕るための罠を仕掛けていましたね。獲物が罠にかかると暴れるので、それが原因となって「止め」が外れて、湾曲していた木々が本来の立ち姿へボ~ンと戻ります。これで獲物は逃げられなくなってしまいます。 湾曲させられていた木々は、「あ~、苦しかった。ふぅ~、やれやれ、これで楽々」と、ひと安心ですが、捕まった獲物は大変です。 とまぁ、獲物を捕るための弓なども「おかえり~」なわけです。
「さぁ、そろそろ獲物がかかったかなぁ」と当時の人が腕時計を見たかどうかわかりませんが、時計が動く(時を刻む)ためには「ぜんまい」という、渦巻き状のばねが頑張っています。「ねじ巻」を使って、人の指でギュッギュッっとぜんまいばねを巻くと、窮屈になったばねが元の状態へ戻ろうとして力を発揮します。
お正月など冬の期間、昔はストーブや火鉢の上でスルメを焼いたものです。だんだん焼かれたスルメは、クルクルっと丸まって、「あちち」と言いながら指で裂いて食べましたね。 なので、ぜんまいばねを「スルメ」と呼んでいた時期もあったようですよ。 クジラのひげが使われていたことは、皆さんもご存知ですよね。ただ、正確さを求められる時計には不向きだったようです。
お正月と言えば、朝から晩までお酒を飲む人がいますね。 やっぱりお正月にお酒は欠かせません。
このお酒、昔は「量り売り(はかりうり)」だったってご存知ですか? 陰陽師氏の物語の中には頻繁にそのシーンが出てきますね。一升瓶や五合瓶のような空の瓶を持って酒屋さんへ行ったんですよ。当時の方がエコですね。 今と違って、子供がよく酒屋さんへ走らされたようです。子供にとっては、その度にお駄賃をもらえるので、それはそれで嬉しかったようですが。 今は、未成年者がいくら「親にお駄賃をもらって頼まれたから」と言っても、お酒を売ってもらえませんから、ご注意ください。
「計り(量り)売りと」言えば、かつてはお肉屋さんやお魚屋さんの店先には、筒状の計りがぶらさがっていましたよね。今ではほとんど目にすることは無くなりましたが。
計りの一番下にはひっかける金具があって、それを「フック」と呼んでいました。 このぶら下がりの計りは「フックの法則」を利用しているんです。この「フックの法則」というのは、イギリスの物理学者ロバート・フックが発見した法則です。 何やら難しい感じですが、簡単に言うと、「ばねの伸びる距離と重さは比例している」、ということです。
パイオラックスは自動車に使われている様々なばねを作っています。 ザックリとですが、自動車には4000個から5000個のばねが使われています。 勿論、どのばねも重要ですが、特にエンジンやブレーキに使われるばねは重要な働きをしています。
エンジンのシリンダーへ混合ガス(ガソリンと空気の混合)を送った後に閉じたり、燃焼(爆発)した後の排気をシリンダーから外へ出してまた閉じるエンジンバルブは、ばねの力で動いています。 エンジンはこの動作を高速で繰り返していますから、ばねもせわしなく動いているのです。ばねの気持ちになると、ちょっと疲れますよね。
さて、今回はここまです。
まだまだ寒い日が続きそうです。 「おかえり~」って笑顔で言ってくれる家族のためにも、安全運転をお願いします。
それでは、みなさん、お元気で!
ばねっこ(筆)