第4回 宇宙のばね
みなさん、こんにちは。めっきり朝晩は寒くなりましたね。布団から抜け出るのに勇気を必要とする季節です。今年も残すところ後わずかとなってしまいました。 さて、今回のテーマは「宇宙のばね」です。 宇宙にばねなんかあるの? と不思議に思われる方々も多いことでしょう。でも、あるのです。宇宙から見て、私達が住んでいる地球にもばねがあります。その一つは「大気圏」。そして、もう一つは「引力」です。これらは、「第2回:「ばね」はお相撲さん」に書いたように、「跳ね飛ばすばね」と「引き寄せるばね」の役割を果たしています。
1995年に全世界において公開された「アポロ13号」をご覧になった方々も多いのではないでしょうか?(私は、自動車関連の展示会がデトロイトにおいて開催された際に、近くにあるフォードミュージアムのド迫力の大型スクリーンで見ました) 1970年4月11日、ジム・ラベル船長を含む3人の宇宙飛行士が乗ったアポロ13号が月へ向かって打ち上げられました。その56時間後(地球から32万キロ。月まで6万キロ)にトラブルが発生しました。燃料電池の一部が破損し、残りの電力では宇宙船のあらゆる機能を維持しながら地球へ帰還することはほぼ不可能となったのです(電力が無くなると酸素も作り出せません。それに宇宙船の中はとんでもなく寒い)。 どのようにしてアポロ13号は無事に地球へ帰還できたのでしょうか?
「MITやNASAなど宇宙開発に関わる科学者が至急召集され、導き出した解決策は「月を回って帰ってくる」でした。勿論、宇宙船の乗組員は大反対です。直接、地球へ引き返す場合(地球へ直接向かっても90時間)でも酸素が不足するかもしれないのに、月へ向かって進み、月の裏側を回って帰るということはとんでもなく遠回りになるからです。 なぜ、科学者は「月を回る」という方法を考え出したのでしょう? ずばり!「月をばねにして帰ってくる」でした。つまり、ブーメランのように勢いを付けて超高速で帰ってくるという方法だったのです。月の裏側(成功するために機体が月へ入射する角度の範囲はたったの2°)を回った宇宙船(月着陸用の機体へ乗り換えています)は、月から跳ね飛ばされるようにして地球へと向かい、地球に近づくにつれて(地球の引力も手伝って)時速4万キロのスピードで地球へ突入し、無事に帰還できたのです。
研究が進むにつれ、宇宙には多くの種類のばねが存在していることが判明してきました。 例えば、「宇宙ひも」。その幅は10-30cm(素粒子よりも小さい)。重さは、1cm当たり1億トンの1億倍。この他にも、ダークマター、パルサー、クェーサー、万里の長城、ワームホール、ダークハロー、マッチョなどがあります。 「地球を離れてみないと、我々が地球で持っているものが何であるのか、本当のところは良くわからないものだ」 (アポロ13号船長:ジム・ラベル)
さて、今回のお話はここまでです。 今回は、ちょっと文章が長くなってしまいましたね(でも、まだ書き足りない)。 それでは、次回もお楽しみに。次回は、2006年の1月に記載します。 皆様、良いお年をお迎えください!
ばねっこ(筆)