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第28回 ハガキとばね

みなさん、こんにちは。

ここ2、3日の間に、三人の友人から「転居のお知らせ」というハガキが届きました。
今は、引越しのシーズンなんですね。

「ハガキ」で思い出したのですが、自動車は、4枚のハガキのサイズで支えられているんですね。
数年前、そんなTVコマーシャルを見たことがありませんか?

タイヤが地面に接触している面積は、ほぼハガキのサイズなんです。

タイヤの素材であるゴムは、当然のことながら「弾性」を持っています。
だからと言って、1本のタイヤが全てゴムでできていたら、乗り心地が悪そうですよね。
地面の凸凹がモロに伝わってくるでしょう。

タイヤに頼らずに、自動車側で路面の衝撃を吸収しようとすると、かなり複雑な「衝撃吸収装置」を搭載しなければならないでしょう。

ばねの話

そこで、タイヤの中へ空気を充填して、「空気」という「ばね」を利用して路面の衝撃を吸収しているわけです。

自動車には、様々な「空気ばね」が利用されています。

大きなモノとしては、「エアサスペンション」です。
トラックやバスに搭載されています。
最近では高級な自家用車にも搭載されているそうです。

空気は、圧縮すると「弾性」を持ちます。
空気の圧縮を高めれば「硬いばね」となり、圧縮を低めれば「柔らかいばね」へ変化します。

つまり、金属ばねなどと比べ、「ばねの力を自由に変化させる」ことができます。
時々、トラックやバスから「プッシュウ~」と、空気が抜ける音を聞いたことがあると思いますが、それは空気の圧力を弱めているのです。

ばね

バスの場合には、停留場で乗客が乗り降りする際に、乗降ドア側へバスが傾きますが、アレも空気ばねの働きです。
また、バスの場合には、乗客が移動したり、座る位置などが不均一なので、それでも安定して走行できるよう、そこにも空気ばねが活躍しています。

小さな「空気ばね」は、以前もご紹介しましたが、ダッシュボードのグローブボックスのフタなどに使われています。

グローブボックスのフタを開けると、ゆっくり、ソフトに開きますよね?
それは、「エアダンパー」と呼ばれる部品が使われているからなんです。

普段はこのエアダンパーを目にすることはありませんが、「注射器」を想像していただければいいと思います。
薬液が入っていない、「空」の注射器です。

ちなみに、薬液の代わりに粘性を持ったオイルが入っていると、「オイルダンパー」と言います。
エアダンパーよりも大きな力を制御する箇所に利用します。
ビルの地下の免震構造としても利用されています。

また、空気でもなく、オイルでもなく、摩擦が生まれやすいギア(歯車)が使われていると「ギアダンパー」と言います。

このギアダンパーは、自動車の後部座席のウインドウの上に付いている「アシストグリップ」に使われています(小さなオイルダンパーが使われている場合もあります)。
このアシストグリップを離すと、ゆっくり元の位置へ戻るのは、この部品が使われているからです。

「エアダンパー」は、自動販売機のフタにも使われています。
自動販売機のフタの場合には、取出し口からドリンクを取った後、フタがゆっくり閉まっていくように「エアダンパー」が使われています。 もし、フタにエアダンパーが使われていないと、「バタンッ!」という音がうるさいし、いや~な気分になりますよね。

また、「タイヤ」の話へ戻りますね。
昔の自動車のタイヤの中には、浮き袋のようなチューブが入っていましたね。
しょっちゅうパンクしてました。

自動車のタイヤが「チューブレス」になったのは、かれころ30年ほど前からでしょう。
タイヤを装着する金属製ホイールの淵の部分とゴムタイヤの淵の部分が密着し、空気がもれないような仕組みになっています。

タイヤは重要ですよ。
何トンもの重さの自動車を、たったハガキほどの接地面積で支えているのですから。
止まっている時も、走っている時も。

カーブを走行している時には、自動車の重さがカーブの外側へ移動しますが、その移動力もタイヤのゴムの変形と空気圧で吸収しています。

タイヤの空気圧を高めれば、スピードは出やすくなりますが、路面の衝撃が伝わりやすくなるので、乗り心地は悪くなります。
一方、空気圧を低くすると、接地面積が広くなるので摩擦が大きくなり、スピードが出にくくなります。
空気圧が高いタイヤを装着して時速60kmで走行している場合に対し、空気圧が低いタイヤで同じスピードを出そうとすると、摩擦に負けないようアクセルを深く踏むことになるので、燃料を多く消費することになります。

自分の自動車とタイヤの特性に合致した空気圧で走行してください。

さて、今回はここまでです。

自動車が無かった頃の貴族は馬車に乗っていましたが、車輪は木製で接地面は金属板だったので、かなり乗り心地が悪かったようです。
偉大なモーツアルトは、3歳の頃から父親と一緒にヨーロッパ各地で演奏していましたが、どうしても馬車での移動が好きになれなかったそうですね。

よかった。自動車がある時代に生まれて。

さて、今回はここまでです。

「今年は、いい年だったなぁ~」と言えるよう、あと少しの期間、全力で頑張りましょう。
「頑張りのばね」を再点検しましょうね。
「頑張りのばね」は、「健康」です。

それでは、みなさん、お元気で!

ばねっこ(筆)