第31回 世界の天文学者が注目している土星
みなさん、こんにちは。 人類は、昔から宇宙への関心を抱いてきました。 天動説から地動説へと常識が変わった頃からは、地球以外にも生物が存在するのではないか? という興味が高まりました。 生物が存在する条件としては、 1.水が存在する 2.空気が存在する ですね。 地球から約459光年離れた先には、地球とほぼ同じ大きさの星が存在することがわかり、生物の存在の可能性が高いと推測されています。 しかし、遠い星でなくても、私たちが住む地球が属する太陽系の中にも、生物が存在する可能性が高まってきました。 それが土星です。
今、世界の天文学者が注目して、ワクワクしながら観察しているのが、土星の衛星であるエンケラドゥス。 何やら、恐竜のような名前ですね。
土星と言えば、最も象徴的なのが「輪」ですね(「環」とも言います)。 この輪の中には、代表的な衛星が60個ほどあります。 その中の1つであるエンケラドゥスが注目されているのは、水の存在を確認できたからです。エンケラドゥスは厚い氷に覆われ、その下には大きな液体の海が存在するのです。 このエンケラドゥスには3つの谷があり、そこから温泉のように、ある間隔で水が吹き出していることがわかりました。 宇宙空間の温度は、-270.42度ですから、一瞬にして水蒸気は凍ってしまいます。 土星の輪は、ほとんど氷からできているのですが、その氷の一粒の大きさは3センチほど。 宇宙空間では、大量の放射線が存在するので、本来ならば、輪の中の氷は放射線の影響を受けてどんどん黒くなっていくはずですが、いつもきらきらと輝いて見えるのは、こうして常に新しい氷が出来ているからなんですね。 これ以外にも、土星について多くの事実がわかってきましたが、それを解き明かしたのが、土星探査衛星のカッシーニ。 NASAが1997年10月15日に打上げました。 本体の寸法は、高さ: 6.8 m × 幅: 約 4 m、質量は、5.8 tです。 発生電力は、原子力電池3基(放射性同位体熱電対)です。 このカッシーニが土星の軌道へ入ったのは、2004年6月30日。 打ち上げてから、約6年半後のことです。 地球から土星までの直線距離は、約13億キロメートルですが、このカッシーニは何度も寄り道をして、約35億キロも飛行して土星へ着いたのです。 なぜ、遠回りしたのか? 「せっかく、宇宙へ来たからには、ついでに他の星も見ていこう」と、観光気分だったわけではありません。 カッシーニが寄り道した星は、金星→金星→地球→木星の順です。 カッシーニが搭載している電力だけでは、ノンストップで土星まで行き着くことができなかったため、3つの星(金星が2回)の「引力」という「ばねの力」を借りて飛行を続けたのです。 これを、「スイングバイ」と言います。 つまり、宇宙に存在するばねの力が無ければ、宇宙を解明することはできない、ということですね。 さて、この土星探査機「カッシーニ」の名前の由来は、天文学者ジョヴァンニ・カッシーニです。 ちなみに、ジョヴァンニ・カッシーニは、イタリア生まれのフランスの天文学者です。 土星のいくつかの衛星やカッシーニの間隙を発見した人です。
フランスの天文学者ジャック・カッシーニは、ジョヴァンニの息子です。 フランスの天文学者・地図学者であるセザール・カッシーニは、ジャックの息子であり、カッシーニ図法の発明者です。 フランスの天文学者であるジャン=ドミニク・カッシーニ (4世)は、セザールの息子です。 フランスの植物学者であるアンリ・カッシーニは、ジャン=ドミニクの息子です。 と、代々が天文学者なんです。
さて、今回はここまでです。 「第4回 宇宙のばね」を思い出した方もいらっしゃるのではないでしょうか? 1970年4月11日、ジム・ラベル船長を含む3人の宇宙飛行士が乗ったアポロ13号が月へ向かって打ち上げられました。その56時間後(地球から32万キロ。月まで6万キロ)にトラブルが発生しました。燃料電池の一部が破損し、残りの電力では宇宙船のあらゆる機能を維持しながら地球へ帰還することはほぼ不可能となったのです(電力が無くなると酸素も作り出せません。それに宇宙船の中はとんでもなく寒い)。 「MITやNASAなど宇宙開発に関わる科学者が至急召集され、導き出した解決策は「月を回って帰ってくる」でした。 次回の第32回も、是非、楽しみにしていてください。 それでは、みなさん、お元気で! ばねっこ(筆)