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第32回 いろいろあります「ばねの材料」

みなさん、こんにちは。
これまで、ばねは様々な材料から作られていることをお伝えしてきました。
例えば、最も身近に存在し、材料費がタダの空気は、大型バスやトラックなどのエアサスペンションと呼ばれるばねに利用されていましたね。(第28回 ハガキとばね

今回は、普段あまり馴染みがない材料から作られているばねをご紹介しましょう。

まずはじめは、「チタン合金」です。
このチタン合金の優れている点は、軽いことと腐食に強いことです。 なので、チタンはゴルフのドライバーヘッドや腕時計などに利用されています。 しかし、チタン合金の難点は、他のばね用金属に比べて非常に高価なことです。 これまでは、宇宙産業などに利用されてきましたが、今後、合金技術の進化に伴ってチタン合金の金額が安くなると、最も軽量化が求められている電気自動車などに利用されていくことでしょう。

ばね

次は、繊維強化プラスティックです。
通常のプラスティックだけでは弾性が低いので、弾性が高いガラス繊維(グラスファイバー)や炭素繊維(カーボンファイバー)を組み合わせて作ったのが繊維強化プラスティックです。
グラスファイバーやカーボンファイバーという言葉から思い浮かぶのが、ゴルフクラブのシャフトですよね。
繊維強化プラスティックが優れている点は、腐食に強い、サイズの狂いが無い、 電気的特性(絶縁性や伝送性)を得やすいなどです。

この他にも、あまり馴染みがないケブラー繊維を利用する場合もあるようです。
ケブラー繊維は、米国の大手化学製品メーカー・DuPont(デュポン)社が開発したアラミド繊維の一種だそうです。 高強度高分子(原子の数が多い分子)材料により高い強度と弾性を発揮し、特に引っ張る力が強いそうです。

次は、セラミックです。
セラミックは、割れやすい、壊れやすい、というイメージを抱きますよね。 確かにそうなんですが、近年はセラミックの製造技術が飛躍的に進歩し、割れない強度のセラミックを製造できるようになりました。 これにより、セラミックが本来持っている高熱に耐える、絶縁性が高い、摩耗に強い、といった特性を発揮できるばねが利用されるようになりました。
具体的にはガスタービンエンジンや化学プラント、高周波関連装置などです。

次は、合成樹脂です。
この合成樹脂(プラスティック)によって作られたばねは、自動車など多くの用途に利用されています。
プラスティックばねは、2つに大別されます。
1つは、熱を加えると硬化するばね。
もう1つは、一度熱で硬化させると、それ以降は加熱しても硬化しないばね。

最後は、ゴムです。
「ゴム」と聞くと、直ぐに弾力性を思い浮かべますね。 ゴムには、主に天然ゴムと合成ゴムがあります。
どちらのゴムも加工性に優れており、装着性も優れているのですが、紫外線や熱による劣化が難点でした。 しかし、様々な元素を添加することにより、この問題を解決してまいりました。

以上ですが、今回ご紹介した材料以外にもまだまだあります。

地球温暖化や自然保護の観点から、植物や鉱物などを除いた自然界に存在する材料をばねに応用する研究が進んでいるようです。

既に空気(気体、気圧、気温変化、体積変化、形状変化、風など)や水(温度変化、体積変化、形状変化、海、川、雨など)は、ばねとして利用されているので、残るは光ということになります。

ばね

さて、あなたなら、光をどのようにして、ばねに利用しますか?

さて、今回はここまでです。

次回の第33回も、是非、楽しみにしていてください。

それでは、みなさん、お元気で!

ばねっこ(筆)