第22回 サッカーボールの弾性
世界経済も徐々に活気を取り戻しているようですね。 そんな世界で、最も熱い戦いが繰り広げられようとしています。
そうです。 2010年6月11日から7月11日にかけて、南アフリカで開催される第19回FIFAワールドカップです。 (何故か、この「ばねの話と技術」の原稿を書く時期には、世界的なスポーツの祭典が開催されますね)
簡単に、南アフリカについて紹介しましょう。 南アフリカ共和国は、アフリカ大陸最南端に位置する共和制国家ですね。東にスワジランド、モザンビーク、北にジンバブエ、ボツワナ、西にナミビアと国境を接し、レソトを四方から囲んでいます。 首都はプレトリアです。
さて、公式サッカーのボールを触ったことはありますか?
参考として、 公式試合におけるサッカーボールの仕様を下記に示します。 ■サッカーボールの材質 ○形:球形 ○材質:皮革または他の適切な材質 ○周囲:70cm以下、68cm以上 ○重さ:試合開始時に450g以下、410g以上 ○空気圧:海面の高さで0.6~1.1気圧
サッカーボールは表皮、補強層、チューブの三層構造。 規格を満たすために、ボールの材質としては以下が使われています。
○表皮:人工皮革 表皮に使われている人工皮革は、ナイロンやポリエステル、弾性ポリウレタン樹脂で構成された布。吸水吸湿性が低いのが特徴。雨が降った際、雨水でボールが重くなるのを防ぎます。
○補強層:布とゴムの複合材 補強層とは、表皮の内側にある層であり、ボールの強度を支えており、布に使用される材質はポリエステルとコットンの混紡布などで、ゴムは天然ゴムラテックスのようです。ボールに求められる性質に合わせて、布種やラテックス量を変えています。
○チューブ:天然ゴム・ブチルゴム チューブは、ボールの中身であり、ボールの内圧を決めます。グランドによってはチューブの素材は変えた方がよいとされています。芝のグランドでは天然ゴム製、硬い土のグランドではブチルゴム製のボールを使用しています。
従来のサッカーボールは、表皮に正六角形の皮20枚と正五角形の皮12枚の合計32枚の皮を縫い合わせていましたが、新公式球ではボール表面に貼り合わせる皮の形状を五角形や六角形からプロペラ型に変えました。 これによって、32枚から14枚に減らしており、従来の公式球に比べ皮の境目も少なくなっています。
また、従来縫い合わせていた皮も、現在は特殊な接着剤に熱を加えて貼り合 せる「熱接合」と呼ばれる方法が用いられています。公式球の変更により、形がより球体に近づき、ボールのコントロールに支障となる空気抵抗のむらが少なくなることによって、ボールの蹴る方向、ボールの動きの正確性がさらにアップするそうです。
そして、このワールドカップで使用されているボールを使うことによって、ゆれる魔球(ゆれながら落ちるシュート)の成功率が高まるそうです。これは、ボール表面の皮のつなぎ目の分布が均一でなくなったためで、ボール周りの空気が不規則に渦をつくりやすくなり、不規則な渦の影響でボールが「魔球」になるそうです。皮のつなぎ方1つでボールの動きが変わるんですね。 (参考:学校法人・専修学校日本分析化学専門学校)
このように、サッカーボールの弾性程度は、勝負に大きく影響するのですね。
もし、サッカーボールが金属や木製だったら・・・・、想像したくない・・。さて、今回はここまでです。
サッカーのワールドカップは、何しろ盛り上がりますね。 岡田ジャパンを皆なで応援しましょう!
それでは、みなさん、お元気で!
ばねっこ(筆)