第21回 オリンピックのばね(その2)
みなさん、こんにちは。
2010年、最初の「ばねの話」です。
これまでにも何度か書きましたが、自動車には多くの「ばね」が利用されています。 2009年における自動車市場の1位は、アメリカを抑えて中国になりました。
また日本国内における販売車種は、トヨタのプリウスが圧倒的な強さを示しています。 「エコカー減税」が寄与していることも大きな原因ですが、「環境負荷の低減」について、消費者意識が高まっていることを示しています。 他のメーカーから販売されているエコカーも順調に伸びているようです。 ハイブリッドカー以外に、電気自動車が本格的に販売されるようになると、化石燃料であるガソリンは、あまり売れなくなってしまいますね。今年は、バンクーバーで第21回冬季オリンピックが開催されます(2月12日~2月28日)。 カナダにおける冬季五輪開催は、1988年のカルガリー大会以来、22年ぶりであり、2回目です。
「第16回 ばねの話」では夏のオリンピックについてお話をしました。 今回は、冬のスポーツと「ばね」についてお話をしましょう。冬のスポーツが夏のスポーツに比べて大きく異なる点は、全ての競技が道具を使う、ということです。 マラソンや水泳などのように靴や衣類だけで競技するような種目はほとんどありません。 また、カーリングなどの一部の種目を除いては、どの種目も高速です。 ジャンプ、スケート、回転、モーグル、ボブスレーなどなど。 ノルディックやバイアスロンでも、斜面を下る箇所が多いです。
つまり、夏の種目に比べると、とても危険だとも言えますね。 なにしろ道具はスキーやソリ、スケートですからね。そこで多くの道具には「ばね」が活かされているわけです。 体力の消耗に対する高速化を実現することも「ばね」の働きですが、衝撃を最小限に食い止めているのも「ばね」なのです。
例えば、スキーでは、靴自体に「弾性」を持った素材が利用されています。
更に、スキーと靴とをしっかり止める金具にも。
でも、転倒した場合には、安全に外れるようにもなっています。
そしてスキーの板自体が「弾性」を持っています。
スキーの板の中央部部分は、少し湾曲していますよね。これによって高速化と衝撃吸収を実現しているのです。
もし弾性を持たない素材のスキーでジャンプし、着地した際には、人体に大きな衝撃を与えることになるでしょう。
ジャンプ以外のスキー種目では、両手にストックを持ちますね。
昭和30年代までは竹製のストックが多く利用されていました。
今はカーボン製です。
そう、ストックも弾性を持っているので、衝撃を和らげているのです。
カーリングはどうでしょう?
はい。弾性が活かされています。
氷の表面を掃くブラシ(ブルーム)が弾性を持っています。
柄の部分はグラスファイバーやカーボンファイバーです。
先端のブラシの部分は合成樹脂(初心者用)や、豚毛や馬毛が使われています。
ごしごしと、このブラシで氷の表面を磨くことによって、氷の上のごみを取ったり、氷を摩擦熱によって溶かしています。これによって、ストーンはまっすぐに、そして遠くへ滑って行きます。勿論、逆に氷の粉を軌道上に集めてブレーキをかけ、停止する距離を調節する場合にも使います。
もし弾性を持たない素材のブラシを使ったら、あんなに速いスピードで氷を掃くことはできませんよね。
さて、今回はここまでです。
ちなみに、カーリングの石は、スコットランドのアルサクレッグ島で産出された石を加工したものだそうです。 冬季オリンピックでは各国の選手の頑張りに期待したいですね。 みんなで応援しましょう!それでは、みなさん、お元気で!
ばねっこ(筆)