第20回 スペースシャトルのばね
みなさん、こんにちは。 土日や祝日は、「高速料金が、どこまで行っても1,000円」なので、どこへ行くにしても渋滞ですね。 高速料金が安いのは嬉しいのですが・・・、渋滞は、やっぱりイヤですね。
7月22日には、日本では46年ぶりの皆既日食でしたね。あいにく曇り空の地域が多かったのですが、ご覧になれましたか?
と、空を見上げると・・・、7月19日に完成した国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」が活動しています。 ISSの構想開始から27年。日本の宇宙開発にとって、大きな節目となりました。
このISSに長期滞在した若田光一飛行士(45)は、船外活動をした同僚飛行士と協力して、スペースシャトル「エンデバー」の貨物室からロボットアームを使って施設を取り出し、既にISSで稼働している「きぼう」の船内実験室の先端へこの施設を取りつけ完成させました。
実は、このスペースシャトルには多くのばねが利用されています。
ISSとドッキングしているスペースシャトルは、地球へ帰還する際に、ばねの力によってISSの前方へ押し出されます。 ISSから400フィート(約122m)の距離まで離れます。 その後、エンデバーはISSから更に離れるために噴射し、NASAケネディ宇宙センター(KSC)への着陸に向けて帰還の途につきました。
こうして若田さんも、4か月半ぶりに地上へ戻って来たのです。 それにしましても、4か月半というのは長いですね。 私なら、耐えられそうもありません(涙)。
スペースシャトルは、打ち上げ時のブースターの切離しにも、ばねを利用しています。 スペースシャトルに利用されるばねは、様々な条件下において正常に機能することが必須です。 そのため、私たちが良く目にする金属のばねの他に「チタン」と呼ばれる合金が、多く利用されています。
チタンは、軽くて錆びず、人体への適合性(アレルギーを起こさない)が高いなどの理由と、適度なばね性を持っていることから、スペースシャトルの随所に利用されるようになりました。 私たちの生活の中では、腕時計や眼鏡のフレーム材として利用されています。
更には「ジルコニア」と呼ばれるような樹脂系のばねなども利用されています。 この「ジルコニア」は、金属を使わずに歯を治療する際の材料としても使われています。
宇宙開発においては、このような「新素材」の開発が欠かせません。
この数年、枕やマットレスの素材として人気が高い「低反発ウレタン」は、NASAが開発しました。 スペースシャトルが発射される際、宇宙飛行士の体には非常に大きな衝撃が加わります。 衝撃によるダメージを緩和するために、スペースシャトルの座席にこの低反発ウレタンが使われています。 この低反発ウレタンも、ばねの機能を果たしています。
この他、以前にもご紹介しましたように、スペースシャトルにはとても小さなばねから大きなばねが利用されています。 形状としてはコイルや皿、板など、様々なばねが多く利用されているのです。
さて、今回はここまでです。
時々、飛行機に乗るとGPS画面を眺めているのですが、高度や飛行スピードなどの他に外気温度も表示されます。 国際線の高度では、外気温がマイナス50度前後なんですね。
汗を拭きながら暑い夏空を見上げた時、その空がマイナス50度なんて思えませんよね。 でも、宇宙の温度は絶対温度で、2.7度です。「絶対温度」というのは、極限の低温(分子が活動できないほどの極限低温度)である摂氏マイナス273.15度を「0(零)度」としています。 それよりもわずかに、2.7度だけ高い温度なのです。 摂氏では、マイナス270.45度です。そんな寒いところでスペースシャトルは活動しているんですね。 お~、寒い~~。
それでは、みなさん、お元気で!
ばねっこ(筆)