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第17回 小さな小さな「ばね」

みなさん、こんにちは。

これから、野山が美しい行楽のシーズンを迎えますね。「食欲の秋」でもありますね。ダイエット中の人にとっては、危険なシーズンかもしれませんね。

さて、小さな小さな「ばね」をご紹介しましょう。極小ばねですね。

ボールペンの先端にばねが利用されていることをご存知でしたか?


*:全てのボールペンに利用されているわけではありません。

ボールペンに使われているばねで思い浮かぶのは、まずノック式を構成するばねですね。

ボールペンの頭の部分をカチっと押して先端から芯を出し、書き終えたらまた頭の部分を押したり、他の部分(突起部分)などを押すと、カシっと芯は引っ込みます。

また、ポケットなどにボールペンを刺して、ポケットから抜けないように止めている部分もばねの力を利用しています。

以上のような部分のばねであれば、皆さんもすぐに「あ~、あれか」とお分かりでしょうね。

ところがボールペンの芯の部分に利用されているばねとなると、ちょっと想像しにくいかと思います。
何しろ、普通では見ることができませんから。

ボールペンを使って文字を書けるのは、芯の先端から少し飛び出ている小さな金属の球が紙の上でコロコロと回転するからなのです。
ボールペンの芯にはインクが入っていますね。
人が紙の上で文字を書く場合には、紙と金属球との間に大きな圧力がかかります。この圧力によって金属球は回転し、回転しながらインクが付着した先端部が紙の上に文字として残っていきます。

そして、この金属球を芯の内側から押さえるために利用されているのが、極小ばねなのです。

何故このようなばねを必要とするのでしょうか?

それは、ボールペンを上向きにして文字を書く場合などには、インクが先端から少し離れてしまうことと、金属球も少し浮いてしまうからなのです。

このような状態を回避するために、芯の内側に存在する極小ばねは、金属球をしっかりと押さえているのです。

それでは、この極小ばねは、どのぐらいの太さ(細さ)なのでしょうか?

ばねを形成する金属の直径は0.02mmほどです。この金属線をコイル状にしたばねの直径は約0.3mmです。もっと細いばねもあるようです。

このような極小ばねは、半導体の回路が正しく形成されているかを調べる電気的試験装置(プローブ試験)などにも利用されています。
髪の毛よりも細い金属線を巻いたイメージですね。
今後は益々、精密部品への利用が見込まれています。

さて、今回はここまでです。
極小ばねは、特に水性ボールペンの先端に利用されているようです。
これからは、ボールペンを見る目が変わってしまいますね。

それでは、みなさん、お元気で!


ばねっこ(筆)